私たちがビニルクロスを使わない理由

2024年03月27日

昔から日本の住宅に使われていた漆喰の塗り壁は、高度な左官技術と壁が乾くまで時間を要することから、施工しやすく安価で工期を短縮できるビニールクロスが普及してきました。

しかし、住宅の気密化が進み、材料に含まれる化学物質が健康に悪影響を与えるシックハウスが指摘されました。

ビニールクロスの原料は、塩化ビニールですが、添加剤として、可塑剤、抗カビ剤、発泡剤などが含まれます。

可塑剤のフタル酸エステルは、塩化ビニールを柔らかくするもので、ビニールクロスの20~50%を占めています。

フタル酸エステルは、家具や建材から空気中に揮発しますので、室内のほこりや空気にも含まれています。日常生活の中で様々な経路からフタル酸エステルにばく露し、体内に取り込んでいます。

さらに、建築後数年経っても空気中からは大量のフタル酸エステルが検出されます。

フタル酸エステル類は、内分泌攪乱物質(環境ホルモン)の一つであり、ごく微量でも生殖機能や免疫系の障害を引き起こす原因になります。

そのようなことから、1990年代よりEUでは使用が禁止されています。

室内のほこりに含まれるフタル酸エステルが、子どものアレルギーやぜん息、認知・学習能力へ影響することも指摘されています。

ビニールクロスと同様にポリ塩化ビニール製のフローリング材には、必ず可塑剤が使われていて、その多くは フタル酸エステルです。

このような、環境ホルモンによる人の健康への影響を考慮して、ビニールクロス及びビニール製のフローリング材等は使用していません。

インテリアをデザインすることは、機能的や美的に快適で心地良い空間を創ることですが、また直接目に見える以上の責任を負っています。

私たちは、ご提供する住まいのデザインは、人への健康や環境に責任を持つものでなくてはならないと考えています。